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継続は力だと言う。
ワイはある日突然、眠っていた才能が開花して、万事全てが息をするより簡単に片付けることが出来る超人になるのだと信じて怠惰な日々を貪っている。
しかしそれではあまりにやることがない。
何もない時間というのは存外扱いに困るものだ。
真の自由は張り合いに欠ける。
夏休みには終わってほしくないが、夏休みを終わらせないために何らかの反抗作戦を企画実行し、然る後夏休みの続きを手に入れるという程度のエキサイティングが人の生には必要なのである。
故に私は、束縛を感じさせない程度の楽しい苦行を用意することにした。
一日のうち、30分。こうして何らかの文章を書く。完結しようとしなかろうと。
本来であれば何らかの労働に従事するべきなのであろうが、あれはつまらないし束縛が強い。私がこの世で唯一、束縛されてもよいと思えるのは顔の良いメンヘラ女だけである。死ですら私を縛り付けることは許さない。
だいたい15分が経った。
140字のツイートは一瞬で呟けるのに、いざそれ以上を書くとなると看過できない量の時間を消費させられる。時間は有限なのだ。有意義に使いたい。猫を甘やかすとか。
さて、今日は茶碗蒸しの話をしよう。
先日、我が家には40個の卵が届いた。
スーパーで安売りしてたからおばあちゃんが買ってきたのだと言う。
10個入りを5パック購入したが、祖母と祖父の二人だけの家庭では1パックされば十分なので、お裾分けに来たらしい。裾分けも何も、4/5じゃこっちが本体になるだろうが。
期限は2週間。そうじゃなくてもまぁまぁな量の卵は冷蔵庫内を圧迫する。
可及的速やかに胃へと処分しなくてならない。
最初はオムレツの練習がし放題だと前向きに捉えることにしたが、3回目で飽きた。そもそも、フライパンがもうダメになっているので、どうやっても綺麗に巻けないのだ。これは技量による問題では解決できないとして、この訓練は早々に凍結された。
オムレツという一見簡単なのに難しい料理に敗北した私は次に、一見難しそうだけど意外と簡単な料理に挑戦した。
それが茶碗蒸しである。
この料理、火加減とかいうめんどくさい要素を介さず作れる。
いや、ちゃんと加熱する時間を気にしないとあっという間に硬くなるらしいが、30分くらい蒸器に放置していればいい感じにぷるぷるしてくれる。
問題は味つけの方だ。
茶碗蒸しの味は出汁の良し悪しで決まる。
汁物に分類されているのも伊達ではない。
だが、今回茶碗蒸しに挑戦したことで、私は出汁が如何に偉大であるかを知った。
特に、生のしいたけの旨味の凄まじさをだ。
きのこは60~70度の間でうまみ成分がよく出るらしいのだが、
おっと時間が来たようだ。
今日はここまでにしよう。
6月、社会人3ヶ月目
向暑の候、皆さま如何お過ごしでしょうか。
私は今、労働という苦役に日々心身を圧迫され絶望の淵にいます。
ごく一部の社会不適合者の期待を一身に受けて東京へと羽搏いたCOVID-19くんですが、誠に遺憾なことにさしたる猛威を揮うことなく、いつのまにか第一波は終息させられてしまいました。
学校に行きたくなかった学生時代、何なら一切の外出すら煩わしかったあの頃は、突如として高濃度の光化学スモッグが発生することで誰も外に出ちゃいけなくなる世界になれば学校に行かなくて済むのになァと、欠伸混じりで授業中によく妄想したものです。それがまぁ、ウィルスによって10年弱越しに現実のものとなったのですから、首都封鎖だなんだと話を聞いた時にはワクワクが止まりませんでした。
しかし、いざ蓋を開けてみれば緊急事態宣言が発令されようとも会社は出勤を命じてくるし、電車はずっと動きっぱなしだし、そのくせ密室空間でしか数を増やせないコロナくんは思った以上に感染を爆発させないしで、妄想に対して現実というものは存外頑なにレールの上を進んでいくものなのだと痛感しています。
現実社会では幾千万幾億人という膨大な数の人間が実際に社会の歯車を回しており、その重みはちょっとやそっとの強風では引っ繰り返るなんて事はないのでしょう。多少は大きい揺れがあったり、線路の上で一時停止をしたりはするのかもしれませんが、いずれ電車は人々を先々の駅へと運び去っていくのです。
つい先日、冷凍保存用の餃子をしこたま拵えていた際に、一人暮らしでは退屈を紛らわす会話相手もおらず、仕方がないので映画の『The Mist』を暇つぶしに初めて観てみましたが、あれほど凶悪だった怪物たちがラストでは軍隊によっていとも簡単に駆除されていってしまったのは、コロナくんの現状を想起させて涙なしには観られませんでした。怪物を避けて閉じ籠っているのが正解だったという、ステイホーム推進にはぴったりの作品だったと思います。あ、まだ結末を知らない人にはネタバレしちゃってごめんね。
それにしてもあのラストは考えさせられるところが多くて。そりゃ主人公も絶叫したくもなりますよ。辛く苦しい日々の中で今まで心の支えとなってきた映画館やカラオケ、国会図書館にコミケたちばかりがコロナに殺されていき、何の楽しみも無くなって苦しみだけが残った世界で、じゃあ俺をコロナに感染させろよ! 出来れば陽性の無症状患者として、ホテルで二週間くらいゆっくり読書とかゲームさせろよ!! とTwitterで叫び倒したって、今や実効再生産数の落ちたコロナくんは焼き尽くされていくばかり。仲間たちと怪物が失われた世界で、それでも今日と明日を生きていかなくっちゃあならない。そもそも、颯爽と現れて怪物たちを焼き払っていく米軍、異次元へのゲートを開いて怪物たちを呼び寄せたのもキミたちの実験が失敗したからだったんじゃないの? とい不満も残ってしまいますね。
さて、来年の新卒の方々はコロナに翻弄されつつも、なんだかんだで採用不採用の結果が届きつつある時期になってきたかと思いますが、一つ前の年の新卒として先輩ぶったアドバイスを言わせてもらうのだとすれば、自分の就職する会社を、人事のお姉さんがカワイイかどうかなんていうクソみてぇな理由で決めてはいけませんよの一言に尽きます。私はそれで失敗しました。
人事のお姉さんがカワイイかどうかで就職先を決めてはいけない理由は、賢明な諸氏なら深く熟考を重ねることで幾つか思い当たるものが出てくるかもしれませんが、敢えて説明させてもらいましょう。
第一に、新卒が顔を合わせることになる人事部の人間とは、企業説明や採用面接、内定者研修を業務の主な担当としている事がほとんどで、いざその企業に就職したとなったら、99.9%はもう二度と会う機会は無いだろうからです。そう、会社に入るためのモチベが、会社に入った瞬間に掻き消えるという悪魔のような大事故。しかもそれで、貴重な新卒チケットを消費してしまったとなれば、挽回は並大抵では出来ません。もう一度どこかの大学に入学しなおして、再度卒業する学歴ロンダリングが必要となってきます。
第二に、人事のお姉さんがカワイイという事ばかりに気を取られると、待遇や業務内容に関する調べが疎かとなり、現場に配属されてからなんじゃこりゃこの仕事は!? となるのが必至です。たぶん自分にまともな理性が残っていれば、年間休日105日とかいう脳に蛆が湧いてるような職場を良しとはしなかったでしょう。BtoC業界がホワイトなわけねぇだろうが……! 固定残業手当とか正気か?? せめて仕事に対して法律で定められている賃金はきっかり支払うのが道理だろうが。行政相手に上手く節税していきましょうってのとはワケが違ぇんだぞ。
最後に第三なわけですが、他人を容姿で判断してはいけないという至極真っ当な人間としての倫理観のお話です。カワイイから、カッコいいからで人に良し悪しを付けてはいけないのです。内定者研修時代は目を輝かせて出席していたのに、就職後の社員研修では担当が変わって、しかも顔もそんなにまァそうでもないから行きたくねぇなァと考え出すのは以ての外なのです。いいですね?
さて、これから就職をする方々、或いはもう就職した諸氏はいったい今、如何にして日々をお過ごしなのでしょうね。どんな職場で働いて、どんな社会人になっていくのでしょう。その未来が、夏の陽射しのように明るく眩しいものである事を祈ります。
あ、自分ですか?
自分は夏が終わる頃には社会人を辞めようと思います、ハイ。
くりぃむぱんのゼロから始める新生活 vol.1
朝が来て夢から醒めるように。
夜が来て陽の光が沈むように。
人はいつか大人になる。
否応無く。
大人になったのだと、誰かに課せられて。
始まってしまった、新生活。
本当はあともう2,3回くらい大学に出たり入ったりを繰り返したいと私は思っております。
最悪、偏差値低めのテキトーな大学を見繕って、そこの受験で点数無双すれば、学費免除の奨学生として憂いなく大学生活の2周目が行えるかもしれないけれど。それでも最低限の生活費は稼がねばならず、結局は悪しき労働の道が眼前に広がる事となるのデス。
4月1日と言えばエイプリルフール。
おまけで新年度の始まりの日。
自分も含め、多くの若人たちが非情なる時の流れによって社会の荒波へと放り出されてしまう日なのであります。
今まで陸でぬくぬくのびのびと楽しい日々を送ってきたはずなのに、何故今日を境に海の上へと放り出されなければならぬのか。
せめて、百歩譲って海に送り出されるとしても、クルーズ船くらいは用意して欲しい。でないと死ぬ。あっという間に舟を転覆させられて、暗い水底にずぶずぶ溺れていってしまう。
圧倒的に、生きる才能が足りていない。
放置されれば餓死なり何なりする自信がある。
メシが作れない。
空腹に耐えかねてスーパーでポテチとかオレンジジュースとかを買ってきて食べるかもしれないけど、残念ながら人間が生存するための栄養をその二種で補うことはできないとされている。健康ってめんどくさいねえ。
それでもまだ生きてはいたいので、なんとかして可及的速やかに、自活能力を獲得せねばならない。ということで、今日から頑張って生きる訓練をすることにする。
「彼を知り己を知れば百選危うからず」とは孫子の言葉。
この場合、彼とは生存に必要な栄養の数々。そして己とは、それを摂るために自身が用いられる能力を指す。とりあえず彼、当面の目標は「一汁三菜」の食卓と定め、これに立ち向かう手札は現状で二つ。炊飯とレンチンだ。
レンチン以外の加熱手段は持っていない。
フライパンは先日、百貨店的なお店で買ってきたものの、使い方がわからない。火の上にフライパンを置けばそれで完了なのか? それで、焼きたいものをフライパンに落とすと? よくわからん。お好み焼きをひっくり返すのは得意なのだがな。どのようなプロセスでお好み焼きが焼かれていたのか知らぬ。油とか敷くんだっけ?
できることをできる範囲内でやる。
これこそ我が信条。
冒険は良くない。まずはレンチンで経験値を積むべきである。
偉大なる電子レンジがもたらす恩寵。即ち、解凍と加熱。
今回はコレを活かし、第一次自炊戦争を行ってみた。
先鋒は炊飯。
実家から持ってきた米を一合、ヨドバシで購入した炊飯器で炊く。
白米の炊き方はあらかじめ、一昨日あたりに母親から習っておいたので万全。水で3回洗って、炊飯器にセットするだけ! この際、お湯は使ってはいけないらしい。どうせ炊くんだから、多少水が温かくても良いような気がするけど従っておく。
中堅は副菜。
スーパーで買ってきた冷凍オーガニックブロッコリーがエントリー。レンチンの解凍スキルを使用。わずか3分で冷たいブロッコリーが食べられるブロッコリーに! しかも、食べきれなかった分は冷凍庫で保存できるらしい。便利だ。
大将は主菜。
ここにはとっておき、業務スーパーで仕入れたレトルトカレーを立てる。野菜と果物が溶け込んだ中辛カレー。きっとビタミンやら何やら、重要な栄養価をさぞ貯め込んでいることだろう。健康の糧となるがよい。
この三本槍が集結した姿がコレだ。
立派な食卓じゃあないか。
紛れもない勝利であろう。
レンジ強すぎでは? ぶっちゃけ、お米も冷凍してあるヤツをチンすればいいし。
もう、何も怖くない。
ということで、スキルツリーにおける初級レンチン調理術が解放された。
次は中級レンチン調理術。
目指すは冷凍したお米の解凍!
――俺たちの戦いは、まだ始まったばかりだ。
【法政大学文化祭の企画巡ってみた(11/3)】
前回記事の宣言通りに、
続きまして11月3日版!
正直、朝起きて布団の外に出るのが面倒くさすぎて、今日は学園祭に行くのやめようかなと思ったものの、どのみち夜には打ち上げの飲みで外出せざるをえないので、やむなく学園祭の屋台企画を巡ってきた。
今日は食品提供のサークルのみで計15企画。
記録は以下の通りである。
【富士見校舎中庭】
16 屋台名 : 牛串
企画名 : 坂上ゼミ
商 品 : 牛串
一本400円。
まさしく牛肉。しかし肉は少々硬く、またタレを注文したが味付けが薄い。肉も脂身が少なくない。だがしかし、串に刺して焼いた牛肉の不味いわけがない。牛串としてのクオリティはさておき、誰が焼いてもどんな味付けをしても、牛肉は旨い。これだけは真実なのである。
17 屋台名 : ギリシャ神話 串に刺してみた
企画名 : 天文学研究会
商 品 : 串焼き
一本200円。
串に刺すのは、魚、牡羊、牡牛のミックス。
串もの企画では価格安めの200円。一方、肉のサイズはそれなりで、全て小さめの一口大。柔らかめなので噛むのに苦労することはない。だが、量は本当に試食程度である。カジキにはマグロの旨味が十分に出ている。塩胡椒の振られた牛肉は素直に美味。羊に臭みは感じられないものの、一方で味もまた感じられない。
18 屋台名 : ABSのあげもち
企画名 : ABS
商 品 : あげもち
一パック300円。
素直に美味しいが、これはあげもちのポテンシャルの高さ故であろう。あまじょっぱいモチモチを悪く言う者は、世間におらぬのだ。突飛なものはないが、優等生然とした味の着地をしている。素直なあげもち。良くも悪くも裏切らない。
19 屋台名 : ミッキーパンケーキ
企画名 : ディズニーサークルClub Mickey
商 品 : パンケーキ
一枚100円。
ピンクのミッキー柄パーカーを着たチャラい格好のお兄やんが居る。そして屋台にあのミッキーマウスが描かれている。恐らく、OUTであろう。版権的に嫌な予感しかしない。大丈夫なのだろうか。怒られないのだろうか、ミッキー絵の商用利用。それだけが気がかりである。ミッキーマウス型のパンケーキのお味は、チョコソースのかかったパンケーキ以外の何物でもない。チョコソースも紙袋に付いてしまっていて食べにくい。悲しい。
20 屋台名 : 焼鳥
企画名 : ACIプロジェクト
商 品 : 焼鳥
一本100円。
つくねをやけに推してくる。なぜならつくねは待ち時間ゼロだから。つくね、もも。しお、たれ。この四種類。一口目にサクサクという音が聞こえてくる程度には焦げている。わりとけっこう、焦げている。やはりというべきか、タレの味が薄い。可もなく不可もない味わい。でも焦げている。
21 屋台名 : 中華・割り箸
企画名 : わりばし
商 品 : 餃子 他
一パック300円。
5個入り。漂う香りからしてお店レベル。餃子の皮を破った瞬間、肉汁が溢れ出る。旨い。これは、旨い。幸楽苑より旨い。しかも5個入りとか言ってる癖に6個入ってた。最高かよ! 割り箸の前に立つ時、人は中華料理屋の扉に手をかけている。
22 屋台名 : こだわり満点サイコロステーキ
企画名 : IVUSA
商 品 : サイコロステーキ
一パック350円。
紙コップに入った7個入り。塩胡椒は恐らく掛かっていない。牛肉本来の旨味がしかと存在しており、十分に美味しい。肉も柔らかい。一枚の肉を四角に切ったタイプではなく、キューブ状に加工したタイプだと思われる。ステーキというよりかはハンバーグに近い。肉の感想としてもっとも近いのは、マクドナルドの110円ハンバーガーの焼きたてパティ。
23 屋台名 : はしまき販売
企画名 : 法政大学 wings
商 品 : はしまき
一本500円。
値段が高い方のはしまき。ただし味は安い方のはしまき(モブモブ)と比して美味しい。だけどちょっとだけ。鰹節を多めにかけたことによる勝利。生地の焼き具合も、友達とのタコ焼きパーティーでちょっと上手く焼けたタコ焼きレベル。店の前でずっとパリピが踊っている。たまに歌っている。集合写真も撮ってる。パリピを観たい人はチェック。
24 屋台名 : SC美容外科の点滴ジュース
企画名 : STUDENT CONPANY
商 品 : ジュース
一パック300円。
インスタ映え路線。点滴(桃味)と輸血(ザクロ味)の二種類を販売。味は圧倒的にピーチが当たり。ザクロはマァ、アセロラジュースみたいな味がする。ストローの長さがパックの底まで微妙に足りない。量は意外と多い。マックのドリンクMサイズくらいの飲みごたえがあるのだが、やはり後半に飽きがくる。
25 屋台名 : オレプレコロッケ
企画名 : ミニコミ出版研究会
商 品 : コロッケ
一個150円。
マヨ、ソースをご自由にかけることができる。中身はカレー味。コロッケのサイズは万国共通スタイル。想像通りのサイズが想像通りに出てくる。もちろん味も想像通りのソレ。紙コップに入っているので食べやすい。甘いものを食べた後に軽い〆として食べるのに最適。
26 屋台名 : あげぱん
企画名 : 志法会
商 品 : あげぱん
一個300円。
あげぱんには珍しい輪切りスタイル。味はココアとプレーンの二種類。ココアを選択。油で揚がったカリカリ感とまぶされた砂糖の甘さは懐かしの味。ただ、真ん中の方に行くにつれてだんだんとチョコソースが掛かっただけのパンへと変貌していく。
27 屋台名 : Sooraj curry
企画名 : カレーサークル
商 品 : チキンカレー
一皿500円。
ターメリックライスにスープカレーの本格派。どこかの店が化けて出たと言われても納得する味。というか屋台主に聞いてみた。店出せるレベルですよ、と。本当に店を出してるらしかった。サークルじゃねえじゃん!! いや、ちゃんと法政の学生らしい。全休の金土のみ店を開いているそうだ。バカうめえ。硬めのターメリックライスはスープに浸かっても食感を失わず、カレーは良い意味で口の中で後を引かずに、喉越しに優れる。屋台というか、出店。ここだけお弁当販売が行われている。ちなみにインスタもやってるらしい。
28 屋台名 : 元林家のおいC小籠包屋さん
企画名 : FC.passion
商 品 : 小籠包
2個300円。3個400円。4個500円。
皮厚め。味付けは酢醤油。一口食めば、中からちゃんと肉汁が流れてくる。値段はやや挑戦的だが味は十分においしい。8個入りを1000円で売ろうとしている話を盗み聞きした。流石に多いと思う。「やってまくり。」の看板が立っていてもやっていない時がある。
29 屋台名 : モッフル・ワッフルまん
企画名 : KYOPRO
商 品 : 餅・肉まん
一個200円。
モッフルは餅をワッフルメーカーで挟んで焼いたもの。ワッフルまんは肉まんをワッフルメーカーで挟んで焼いたもの。アンケートに答えるとお菓子が貰える。注文から作るのでお時間はかかる。モッフルを注文。鬼が出るか蛇が出るか。果たしてお味は……きな粉餅。だって餅をワッフルメーカーで焼いただけだもん。そこにきな粉とあんみつかけただけだもん。そりゃそうなりますわ。うん、ふつうに餅。
21 屋台名 : 探検カレー
企画名 : 探検部
商 品 : カレーライス
一皿400円。
さる部員がインドから持ち帰ったレシピをうんたらかんたら。中辛から、マグマ、スルタン、エンダンと辛さに段階がある。美味しくいただけるのはマグマまでらしい。変な臭いがする。あまり嗅ぎすぎると食欲が無くなっていく。なんていうか、その、カレー色の臭いが……する。ベジタリアンカレーらしいが、ちょっとそういう問題ではないジャンルの食品。鍋でかき混ぜられている時のインパクトはすごい。ただ、味は思ってた以上に形容しがたい。なんていうか、延々と煮込まれ続けたベジタブル蠱毒。ごった煮にされた野菜たちの絶叫が激しくぶつかり合って、そしてなんか打ち消されていった。結果、妙な臭いだけが立ち上り続ける。口に入れると無害化するが、口に入れない限りこの臭いから逃れることはできない。
この表現はかなり際どいが敢えて口にするならば、無毒化に成功した糞。
15企画巡って、現在開催されている内のやっと半数くらいの屋台を食べてまわることが出来ただろう。あまりに数が多い。次第にお腹が膨れてくる。それでもまだあと5軒は足を運べたかもしれないが、探検カレーで完全に沈黙させられた。アレはちょっと、最後に食べるべきというか、食べたときが最後というか……。
今日かかったオカネは計4400円。
実にバカにならない金額だ。
昨日と併せて、7550円。
なんだよ、鬼滅の刃の原作揃えられんじゃん。てかおい、メルカリで鬼滅の刃全巻セットを1万円以上の値段付けて売ってる奴、マジでふざけてんじゃねーぞ。
お前ら全員未来永劫、寝る前にスマホの充電挿し忘れる呪いにかかりやがれ!!!
ていうか、やがて君になるが完結したってマ?
【法政大学文化祭の企画巡ってみた(11/2)】
練り歩く屋台の売り子たちに、ビラ配りの掛け声、サークル企画の呼び込みと、溢れる活気に彩られる構内。
そして、
それに負けじと拡声器を握り締める某カルチャー連盟。
法政大学の学園祭、その風物詩である。
秋も盛りの11月初頭に法政大学は毎年学園祭を迎え、有名無名実在非実在を問わず、数多くのサークルが企画を開催し、このオマツリに参加している。
そして私は今回、これらの企画の一部に目を向け足を運び、舌鼓を打ってきた。食品提供12企画、作品展示3企画。これから綴るのは、その備忘録である。
【富士見ゲート前広場】
01 屋台名 : 麺屋台
企画名 : ドーミ
商 品 : 油そば 他
一杯300円。
麺の上には天かすと一口大の焼豚にネギが少々。かきこんでしまえば食べきるのに1分とかからない程度の量で、よく言えばフットワークが軽く、わるく言えば物足りない。味については決して悪くない。カップ麺よりも旨い。ランク的には腕前に自信のある人が作ったアレンジカップ麺くらいのレベル。小腹と舌を満足させるには十分な質とコスパ。
02 屋台名 : 牛タン入りつくね
企画名 : チーム・オレンジ
商 品 : 牛タン入りつくね
一本200円。
まず熱々である。冷めたつくねほど哀しいものはないが、その心配は無用であった。どれくらい通常のつくねとの違いがあるのかは定かでないが、確かにその一口には牛の脂を感じた……気がする。というか、牛肉の入った手ごね肉、それはハンバーグなのでは……? それはさておき、ふつうにおいしかった。
企画名 : ZAURUS
商 品 : クラムチャウダー
一杯250円。
熱い。渡される時に大変お熱くなっておりますとは言われたが、思ってたより熱い。少しフーフーしてから食べた。それでも結構な熱さに舌がやられてしまったので、詳しい味はわからない。あさりは入っていた。いや、わからない。私はあさりとしじみの違いがわからないのだ。だから正確には小さい貝類が入っていたとしか言えない。なんというか、秋の市民運動会で地域のお母さん方が好意から振舞ってくれる軽食のスープ、そんな感じの味わいがある。一口目の結構熱いとことか。量はサイゼリヤのスープカップよりも多かった。価格も250円でコスパもgood。
【大内山校舎】
04 美術集団あ〜と
作品展示
入場無料。
ドールの写真、切り絵、折り紙、点描画、その他イラスト等々が展示されている。ドールがどちゃくそ可愛い。物販ではお手製のミニハット、ピアス、リング、ポストカードなどが販売されている。手芸のクオリティが高いんじゃ。写真撮影OKだがアップロードはNOなので見せられないよ。
【ボアソナードタワー 】
05 天文研究会
入場無料。
でっかいドーム型テントに送風機で空気をためて膨らませている。暗室の中、その白い天蓋に手製の投影機で四季の夜空を投射する。上映は20〜30分くらい。星座と、その背景になっているギリシャ神話について解説してくれる。部員が手動で夜空に星座絵を投影する様子は、アナログとハイテクの共同作業的構図。星の配置を次の季節へと変えるとき投影機が動かされるのだが、その際にプラネタリウム夜空の回転する様が非常に美しい。ただ少し酔う。後半につれてだんだんと眠くなってくるのはご愛嬌。
【外濠校舎】
06 II部映画研究会
制作映画の上映
入場無料。
4本の短編が代わる代わる上映されているらしく、その内の3本を観た。マァ、ぶっちゃけ如何にも大学生の撮ってそうな映画だった。自意識が爆発してる系か、最後にどんでん返しを入れてやろうという意識ばかりが先行している系の二択。見逃した残り1本がもしかしたら傑作かもしれないので、希望はまだ残されている。余談だが、ロケ地が法政大学構内かその周辺がたっぷり出ていたものがあり、内容以前にそちらで笑いを誘われてしまったのは不覚である。
【富士見校舎中庭】
07 屋台名 : 踊る屋台
企画名 : 舞踊研究会
商 品 : トルネードポテト ケチャップ コンソメ他
一本350→200円。
お祭り感のある食べ物。しかし如何せん食べづらい。特にケチャップを注文したのがミステイクであった。ケチャップが多めにかかっていたため、味は98%ケチャップ。口内炎にケチャップが沁みた。終盤、言い値で売ります!とゴリ押し販売していたのはちょっと面白かった。
08 屋台名 : pasta in soup
企画名 : CLS
商 品 : スープパスタ
一杯300円。
使い捨てコップにコンソメスープと麺が入っているスタイル。一瞬、それはブタメンでは……? と疑いが胸に芽生えるが、中を覗いてみればそこには可愛らしくもオシャンティなアルファベット型のパスタ麺が。そういえばパスタって色んなタイプの麺がございましたね。奥さん、ラザニアやマカロニもパスタだそうですわよ。パスタって御洒落な食べ物ですねえ。
09 屋台名 : ババッカレーうどん
企画名 : BABACA
商 品 : カレーうどん
一杯400→200円。
人参ごろごろ多め。故に甘口。お肉は残念ながら薄く悲しい事この上ない。しかし薄いと一周回って肉を噛み締めている感覚に出会う。錯覚。ふつうにカレーうどんの味がする。カレーのつゆが過剰に汁っぽくないところは好感が持てる。というか、カレーにうどん突っ込んだヤツだわコレ。人参といえど、じっくり煮込むと思った以上にほろほろの甘みが出て美味いことを知った。学びである。
10 屋台名 : モブモブはしまき
企画名 : 法政大学フラッシュモブ
商 品 : はしまき
一本200円。
売り子の女の子の笑顔が眩しかった。きっと美味しいですよという言葉が温かった。然してその味。お好み焼きパーティで試しに焼いてみた一枚目、いざ実食してみたら思ってた以上に中の生地がパッサパサにだった。そんな感じの情趣。しかしソースとマヨと青海苔のトリオはオマツリ系ジャンクフードの華なのである。うん。美味しいよ、うん。ビバ油分。
11 屋台名 : 牛肉と馬鈴薯とパン
企画名 : 日本文学研究会
商 品 : ビーフシチュー
一杯400円。
パンはなんかコストコで食べたことのある味。ビーフシチューの名前の割に肉は物哀しく薄い。が、ビーフシチューの味はそれなりに旨い。パンが付いてくるのも良心的。量は大きめの椀一杯。がっつり食べ応えがあってよい。そういえば馬鈴薯、いたっけ……? (底に溜まってた) ついでに日本文学研究会の会誌が貰える。
12 屋台名 : River horse
企画名 : 法政大学リバーホーステニスクラブ
商 品 : フランクフルト
一本200円。
温かいが熱々ではない。コンビニのホットスナックコーナーを想起させるハートフルな暖かさ。ケチャップとマスタードがこれでもかと掛けられており一見オトク感。しかし時に塩分は肉体へと牙を剥くのであった。特にケチャップは口内炎に沁みて痛い。
13 屋台名 : ワールドチュロス
企画名 : 法政大学ワールドテニスクラブ
商 品 : チュロス
(ココア、シュガー、シナモン、まっちゃ、イチゴ)
三本300円(じゃんけんに勝つと値引き)
ココア、シュガー、シナモン、まっちゃ、イチゴ味
屋台で食べると目の前でチュロスが味付けされていく様を見ることができる。わりとアナログの手作り感。揚げたての味わいはサクサクもちもち食感。ダークホースと思われたイチゴフレーバーも意に反して正統派なストロベリー味を纏ってみせた。じゃんけんで勝つと100円引き。もちろん勝ってみせたとも。人がじゃんけんで最初に出す手はチョキがほとんどだ。
14 屋台名 : ちゃんこ法政
企画名 : 法政大学応援団リーダー部
商 品 : ちゃんこ
一杯400円
汁たっぷり野菜ぎっしり肉どっさり。味量共にNo.1。屋台というか、もはや炊き出し。純然たる鍋。七味はお好みで。とにかく満足感がやばい。食べると胃の容量が目に見えて充たされていく。どうしてわたしは学祭の屋台で口いっぱいに肉と野菜を頬張っているんだろうが。友達とやった鍋パだってこんなに具材は入ってなかったぜ。強いて言えば、田舎のおばあちゃんが用意してくれるお夕飯のおかずくらいボリュームがあった。軽率に箸を伸ばすとお腹いっぱいになりすぎるという意味だぜ。
15 屋台名 : 豚キムチ焼きそば
企画名 : 法政大学英語研究会
商 品 : 豚キムチ焼きそば
一パック300円。
屋台主曰く、ここらの焼きそばで一番安いらしい。それはさておき。屋台フードの中でも量の多いガッツリ系メニュー。キムチがピリリと辛く、されど豚の脂の甘みがよく絡み合っている。ふつうに旨い。いや、ふつうという言葉では足りないと認めざるを得ぬ味わいだ。正直舐めていた。おまえら、なんでもかんでも豚キムチ混ぜれば美味しくなると思ってんじゃねーぞ! とさえ考えていた。おいしかった。並みの焼きそばを超えている。さらに、だ。豚キムチの味わいを得たことで、モヤシが覚醒した。キムチによるモヤシのヘッドハンティングである。本来、焼きそばでは没個性的存在のモヤシくん。だが彼は職場を焼きそばの具からキムチの具へと転じたことによって、本当に輝ける居場所を見つけたのだ。
ただ、最後に一つだけ言いたいことがある。
量が、多い。
焼きそば、重い。
半チャーハンならぬハーフ豚キムチ焼きそばの登場を希う。
以上、15企画巡り。
経費は総額3150円也。
学祭の屋台といえども、10企画以上回ると流石に懐へのダメージも軽くない。
が、そも。
自主法政祭における総企画数はこんなものではないのだ。屋台だけでもその半分すら巡れていないであろう。しかも、屋台は1,2日目と3,4日目ではその顔触れを異にする。
そう、まだ戦いは始まってすらいなかった。
夜明けと共に、新たなる刺客が法政に屋台を立ち上げるだろう。そして再び太陽が地に沈んだ時、果たして私は無事に五体満足でいられるのか……!?
次回、【法政大学文化祭の企画巡ってみた(11/3)】に続くーーーー
人は深く絶望した時にこそ光を見つける
仄暗い人生の底からこんばんは。
こちらは冷房効きすぎた電車の車内。
潤んだ瞳の目頭押さえつ鼻をすすりながら長文LINE打ってる女性と、ドアに貼られた「大切なのは結果じゃない。ここからどう向き合うかだ」と銘打つ予備校広告の狭間よりお送りしております。
さて、電車が目的地へと運んでいくのは、多量のニンゲンの肉体ではなく、多様なヒトの人生や夢、というようなニュアンスの決めゼリフをどこかで聞いたことのあるくりぃむぱん。肉体の重みならば車内の誰より勝る自信のあるワタクシですが、残念、人生の重みとなれば車輌を宙へと飛ばしてしまうくらいの軽佻浮薄のザマであります。
わけあって本日は都内に至りてBBQ。気乗りはせぬものの、タダ飯喰らいの飲み放題とキタれば脚を運ぶより他はあるまい。いくら、悪名高く音に聞こえしシュウカツ・イベントBBQであったとしても。
労苦を頑なに課してくる俗世とは縁を切り、生涯に渡って神や御仏にこの身この心を捧げんと志そうと、既に唯一絶対の神はニーチェによって死亡診断書を発行されて久しく、弥勒菩薩への信仰も56億7千万年後の済度の日取りまでは本人不在につき再配達手続きの伝票がポストの底に積もり続ける。
今現在において最も猛き信仰を集める on the earth No.1 GODは、その名を「GOLD」。
よって出世間とは元来の世捨て人とは真逆も真逆、寧ろ俗社会での権威権力を恣にしていく事の意と相成った。
ニンゲンとして生きていくには、GOLD神への信仰とお供え物が憑いて廻る我らが時代。帰依の拒絶も赦されぬ。
世を捨てる 先に待つのも 六文銭
カネ無き者は 渡るべからず
賠償金で大変なことになるから、電車が走ってくる線路にだけは飛び出しちゃあいけないぞ!!
十人十色。理由はそれぞれあるけれど、電車の前に身を躍らせた人間が最期に見るのはどんな景色なのだろう。視界に映るのは、迫る鉄の塊と、きらきら輝く前照灯。
飛び込み自殺をするならワタクシ勿論、早朝通勤ラッシュの忙しない時間帯よりも、赤青黄入り混じる空に覆われた、気怠い空気の流れるアーベントが良い。
絶望の淵、そこからついに落っこちてしまった未来の我々は、最期に一つ、眩しいほどに美しいナニカを見て安息できるか。
渡れぬ河に沈むなら、夜空に瞬く星を仰ごう。
企業説明会の時に聞いた採用人数男女比は、だいたい半々だったように思う。
だが本日のBBQ、なにぶん女の子が少ない!!
生きるにせよ死ぬにせよ、美少女は必要不可欠だ。葬儀の時には坊主の経よりDLsiteの看取られ音声をお願いします。それが遺言。
果たして、このままこの会社に入社して良いのだろうか。
モラトリアムの最期を飾る前照灯、その光が現れる日をワタクシは待望する。
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I WANT YOU !
〜 nearest station〜
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地獄のような町、熱海
人々は何故熱海に行くのだろう?
何を求めて、熱海へと行くのだろう?
温泉? 海水浴? グルメ?
一昨日、昨日、今日と私は熱海にいた。
だが熱海に、そんなものは無かった。
ただそこにあったのは、昭和の臭いを色濃く残す寂れた温泉街と、何故かロープウェイチケットとセットで入場券が売られている熱海秘宝館だけだった。そして、げに恐ろしきは秘宝館である。
秘宝館の最盛期は1970〜1980年代。昭和で言えばだいたい50年代前後のあたりだ。
私はピチピチの20代であり、その頃にはまだ生まれてすらいなかったので、当時の世相がどんなものだったのかは全然わからない。だがネットで少し調べてみたところ、同時期に流行していたものとして、巨大迷路やなめ猫、おニャン子などが挙げられるらしい。
なんというか、こう、すごく昔って感じがする。そもそもベルリンの壁が崩壊してない。ゲーム&ウォッチ、ファミコン誕生の瞬間。うる星やつらとめぞん一刻の連載がリアルタイムで読める。素晴らしい。絵に描いたような昭和ではないか……!
このシンボリックな昭和の時代を代表する観光スポット秘宝館、その最後の生き残りが熱海には存在していたのだ。
伝聞でならともかく、自らの五感で秘宝館が何たるかを知った人間が、日本には何%ほどいるだろうか。そして秘宝館に一度足を踏み入れたことのある者なら分かることだが、その伝聞の情報すら、撮影録音が厳然と禁止されている秘宝館では、多く広まることはないだろう。まぁ仮に公然と広まっても、目を背けられたり耳を塞がれたりすることは容易に想像できるが。
秘宝館の入り口に立っている掃除のオジサンは気さくだ。気さくに秘宝館への入場を勧めてくる。人懐っこい笑顔で嬉しそうに秘宝館の事を話してくるオジサンには親しみを覚えた。
だからというわけではない。
だがつい、私は秘宝館の中へと入ってしまっていた。
撮影どころか模写すら固く禁じられている秘宝館では、内部の画像を手にすることは出来なかったが、正直わざわざ写真で見せられても反応に困る、しょーもない展示物しか無かったので、ここらへんは別に惜しくは無い。
中学生男子、或いは高校生男子の中でも卑猥なネタが好きな者を探す。ソイツの教科書を開き、そこに書いてある落書きを見れば、秘宝館内部の展示物のイメージはだいたい掴めるのだ。そう、あれは正しく潔癖かつ純真な中学生女子に向かって、ア行とナ行を連続で唱えてみてとかいう低俗な悪戯をしかける男子中学生のような、そんなレベルの発想であった。
性が下品なのではない。
ただ秘宝館展示物は、その性の扱い方があまりに下品だったので、きっとこの館を作った人間は定期試験でも32点とか26点とかしか取れずに、特に女性教師の担当する教科の回答用紙に至っては卑猥な落書きを添えて提出するような、そんな中学生時代を過ごしたに違いないと確信させるようなセンスに満ち溢れていた。
果たしてイメージ通りだったのか、それともイメージが先行しすぎて幻臭を嗅いでいたのかはわからないのだが、やはり秘宝館の中は変な臭いがした。嗅いだことのない臭いだったので言語化することは難しいのだが、酸っぱいようなカビ臭いような、長い間閉じられ続けた空間の臭いがした。
展示物として浦島太郎と一寸法師のパロディAVが垂れ流されているのを見た時は笑ってしまった。ボタンを押すとギミックが動くタイプの展示物は全て押す部分が乳首を象っていたし、回すと人形がダンスを始める仕組みのハンドルにも、デザインもへったくれもないような形で申し訳程度に乳房が生やされていたのも、仕事の雑さに苦笑させられた。
さて、熱海での記憶として秘宝館の事ばかりを挙げるのはどうなのかと思うが、しかし秘宝館の在り方はこれが中々どうして表象している。
時代に取り残されて寂れてしまったが、それをどうにかするだけの目新しい力は内側には無く、温泉街には所々に廃墟が目立ち、観光業従事者に年若い者は見当たらない。路地を進めば、飲食店より風俗店のが目立つ始末。温泉街なら温泉に絞って推していけばまた立場も纏めやすいだろうが、さして大きくもないビーチやプールも設置されていて、観光をするにも頭一つ抜けた名所は思い浮かばない。インパクトだけでいえば、秘宝館が一番話題性があるのではないか。
観光地が落伍していく様を、まざまざと見せつけられてしまった。
地獄のような町、熱海。
滞在は前述の通りに2泊3日。
ホテルの夕食はバイキングであったが、ステーキの味がわりと残念だった。焼き過ぎで肉が硬くなってしまった上に、冷めている。
じゃあもうローストビーフでいいじゃねぇかと思えば、ローストビーフは既にある。ローストビーフを用意した上で肉を焼くなら、もう少し凝ってくれ……!
でもデザートコーナーのパウンドケーキを、溶けかけたバニラソフトに浸して食べたのは美味しかったので、それなりに満足はしている。バニラソフト、コンビニやちゃちな飲食店以外ではあまり食べられないし、食べ放題もできないし。
3日目、ホテルをチェックアウトして熱海駅へと向かう。だが、バスは観光地にしては些か致命傷なのではないかと思うくらいに本数は少なく、炎天下のなかで時刻通りにやってこないバスをしばらく待つことになった。ICカードの使えないバスに、お釣りの出ないぴったりの代金を支払って降車すると、熱海駅から北へ帰路についた。
新宿駅に着いた時、私は安心した。溢れかえる雑踏と雑多な喧騒。陽射しを照り返すビルのガラスに、足裏に熱を伝えてくるアスファルト。決して快適ではない。だが、そこは令和を迎えた世界だった。平成どころか昭和から時間が止まったままの、あの寂れた温泉街から帰ってこれたのだと安堵した。緑生茂る岬の上に建つ秘宝館はもう無い。
さよなら、熱海。
そしてもう二度会うことはない、熱海。
空間は時間を演出しうる。
昭和と共に熱海は過ぎてゆく。